医療用医薬品 : 乾燥弱毒生麻しんワクチン

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医薬品情報


総称名 乾燥弱毒生麻しんワクチン
薬効分類名 ウイルスワクチン類
薬効分類番号 6313
ATCコード J07BD01
KEGG DRUG
D04866 乾燥弱毒生麻しんワクチン
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2023年2月 改訂(第1版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
乾燥弱毒生麻しんワクチン「タケダ」 DRIED LIVE ATTENUATED MEASLES VACCINE"TAKEDA" 武田薬品工業 631340DD1036 生物由来製品, 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

予防接種を受けることが適当でない者
2.1 明らかな発熱を呈している者
2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
2.3 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
2.4 明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者[10.1参照]
2.5 妊娠していることが明らかな者[9.5参照]
2.6 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

4. 効能または効果

麻しんの予防

6. 用法及び用量

本剤を添付の溶剤(日本薬局方 注射用水)0.7mLで溶解し、通常、その0.5mLを1回皮下に注射する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 接種対象者
7.1.1 定期の予防接種
(1)第1期 生後12月から24月に至るまでの間にある者。
(2)第2期 5歳以上7歳未満の者であって、小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にある者(小学校就学前の1年間にある者)。
7.1.2 任意の予防接種
任意接種として、性、年齢に関係なく接種できる。
7.2 輸血及びガンマグロブリン製剤投与との関係
輸血又はガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は、通常、3か月以上間隔を置いて本剤を接種すること。また、ガンマグロブリン製剤の大量療法(200mg/kg以上)を受けた者は、6か月以上間隔を置いて本剤を接種すること。[10.2参照]
7.3 他の生ワクチン(注射剤)との接種間隔
他の生ワクチン(注射剤)の接種を受けた者は、通常、27日以上間隔を置いて本剤を接種すること。[10.2参照]
7.4 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。[14.1.1参照]

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種直後及び5〜14日の間の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 接種要注意者
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
9.1.1 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者9.29.3参照]
9.1.2 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
9.1.3 過去にけいれんの既往のある者
9.1.4 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
9.1.5 本剤の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者
9.2 腎機能障害を有する者
接種要注意者である。[9.1.1参照]
9.3 肝機能障害を有する者
接種要注意者である。[9.1.1参照]
9.5 妊婦
妊娠していることが明らかな者には接種しないこと。[2.5参照]

10. 相互作用

10.1 併用禁忌
副腎皮質ステロイド剤
プレドニゾロン等
免疫抑制剤
シクロスポリン
(サンディミュン、ネオーラル)
タクロリムス
(プログラフ)
アザチオプリン
(イムラン)

2.4参照]
麻しん様症状があらわれるおそれがある。特に長期あるいは大量投与を受けている者、又は投与中止後6か月以内の者は、免疫機能抑制下にあるため、ワクチンウイルスの感染を増強あるいは持続させる可能性がある。
10.2 併用注意
輸血
ガンマグロブリン製剤
7.2参照]
接種前3か月以内に輸血又はガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は、3か月以上過ぎるまで接種を延期すること。また、ガンマグロブリン製剤の大量療法において200mg/kg以上投与を受けた者は、6か月以上(麻しん感染の危険性が低い場合は11か月以上)過ぎるまで接種を延長すること。
本剤接種後14日以内にガンマグロブリン製剤を投与した場合は、投与後3か月以上経過した後に本剤を再接種することが望ましい。
輸血及びガンマグロブリン製剤中に麻しん抗体が含まれると、ワクチンウイルスが中和されて増殖の抑制が起こり、本剤の効果が得られないおそれがある。
ツベルクリン反応検査本剤接種後、1か月以内はツベルクリン反応が弱くなることがある。細胞性免疫の抑制が起こることがある。
他の生ワクチン(注射剤)
風しんワクチン
おたふくかぜワクチン
水痘ワクチン
BCGワクチン
黄熱ワクチン等
7.3参照]
通常、27日以上間隔を置いて本剤を接種すること。他の生ワクチン(注射剤)の干渉作用により本剤のウイルスが増殖せず免疫が獲得できないおそれがある。

11. 副作用

11.1 重大な副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
じん麻疹、呼吸困難、血管浮腫等があらわれることがある。
11.1.2 血小板減少性紫斑病(頻度不明)
通常、接種後数日から3週ごろに紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等があらわれる。本症が疑われる場合には、血液検査等の観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。
11.1.3 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(頻度不明)
通常、接種後数日から2週間程度で発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれる。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 脳炎・脳症(頻度不明)
異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
11.1.5 けいれん(熱性けいれんを含む)(頻度不明)
11.2 その他の副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
 5%以上頻度不明
過敏症注1) 発疹、じん麻疹、紅斑、そう痒、発熱
全身症状注2)発熱、発疹だるさ、不機嫌、麻しん様発疹
局所症状(接種部位) 発赤、腫脹、硬結、疼痛

14. 適用上の注意

14.1 薬剤接種時の注意
14.1.1 接種時
(1)接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
(2)本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。[7.4参照]
(3)本剤の溶解に当たっては、容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、添付の溶剤で均一に溶解して、所要量を注射器内に吸引すること。この操作に当たっては、雑菌が迷入しないよう注意すること。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しないこと。
(4)注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
14.1.2 接種部位
接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒すること。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験(小児)
接種前麻しん抗体陰性の健康小児166例を対象に、臨床試験を行った。
ワクチン0.5mLを1回皮下に注射した後、6〜8週後に採血し、獲得抗体価を測定した。ワクチン接種後の抗体陽転率は95%以上、平均抗体価は5.3(log2)の成績が得られた。また、37.5℃以上の発熱が23.5%に、発疹の出現が13.9%に認められた1)
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 家族内感染に関する調査
麻しん流行時、家族内小児同胞224例を対象に、ワクチン接種群及び未接種群の家族内感染調査が行われた。
家族内感染率は、ワクチン接種群で0.9%、また未接種群で92.6%となり、家族内二次感染防御について算定したワクチンの予防効果率は、99.1%であった2)
17.2.2 抗体保有状況に関する長期追跡調査
ワクチン接種後の抗体価は、10数年以上持続することが報告されている3)
17.2.3 副反応調査
接種前麻しん抗体陰性の健康小児1,373例を対象に、市販後、ワクチン接種後の副反応(発熱、発疹)を調査した。発熱と発疹の出現頻度、副反応の程度、持続日数はいずれも承認時までの成績を再現するものであった。発熱及び発疹はそれぞれ19%と11%に認められた4)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
麻しんウイルスは経気道的に侵入、感染し、局所の粘膜上皮及び所属リンパ組織で増殖後、ウイルス血症を起こして全身の標的臓器に運ばれ、発症すると考えられている5)。予め本剤の接種により、麻しんウイルスに対する液性免疫及び細胞性免疫が獲得されていると、感染したウイルスの増殖は抑制され、発症は阻止される。

20. 取扱い上の注意

本剤のウイルスは日光に弱く、速やかに不活化されるので、溶解の前後にかかわらず光が当たらないよう注意すること。

22. 包装

1人分 バイアル 1本
溶剤(日本薬局方 注射用水)0.7mL 1本添付

23. 主要文献

  1. 平山宗宏ほか, 臨床とウイルス, 10 (3), 65-73, (1982)
  2. 加藤誠ほか, 小児保健研究, 49 (5), 538-542, (1990)
  3. 木村慶子, 小児感染免疫, 2 (1), 31-33, (1990)
  4. 武田薬品集計, (1988)
  5. 白木和夫ほか, 小児科学, 510-513, (1997)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
武田薬品工業株式会社 くすり相談室
〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号
電話:フリーダイヤル 0120-566-587 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
製品情報問い合わせ先
武田薬品工業株式会社 くすり相談室
〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号
電話:フリーダイヤル 0120-566-587 受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とはならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
武田薬品工業株式会社
〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/11/20 版