医療用医薬品 : ラノコナゾール

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医薬品情報


総称名 ラノコナゾール
一般名 ラノコナゾール
欧文一般名 Lanoconazole
薬効分類名 抗真菌剤
薬効分類番号 2655
ATCコード D01AC22
KEGG DRUG
D01092 ラノコナゾール
KEGG DGROUP
DG01883 イミダゾール系抗真菌薬
JAPIC 添付文書(PDF)
この情報は KEGG データベースにより提供されています。
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添付文書情報2024年6月 改訂(第2版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
ラノコナゾールクリーム1%「イワキ」 Lanoconazole Cream 1%"IWAKI" 岩城製薬 2655710N1048 24.2円/g
ラノコナゾール外用液1%「イワキ」 Lanoconazole Solution 1%"IWAKI" 岩城製薬 2655710Q1044 24.2円/mL
ラノコナゾール軟膏1%「イワキ」 Lanoconazole Ointment 1%"IWAKI" 岩城製薬 2655710M1042 24.2円/g

2. 禁忌

次の患者には投与しないこと
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 効能または効果

下記の皮膚真菌症の治療
白癬、体部白癬、股部白癬
間擦疹、指間びらん症、爪囲炎
癜風

6. 用法及び用量

1日1回患部に塗布する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。

11. 副作用

11.2 その他の副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。
 0.1〜5%未満0.1%未満
皮膚皮膚炎(接触皮膚炎等)、刺激感、発赤小水疱、そう痒感、亀裂、乾燥、腫脹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤使用時の注意
<製剤共通>
14.1.1 著しいびらん面には使用しないこと。
14.1.2 眼科用として角膜、結膜には使用しないこと。
<外用液>
14.1.3 亀裂、びらん面には注意して使用すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度
ラノコナゾール1%クリーム5gを健康成人6例の背部に8時間単回塗布し血漿中未変化体濃度を測定した結果、2例で塗布8時間〜12時間後に0.35〜0.44ng/mL検出したが、それ以外は検出限界(0.3ng/mL)以下であった。また、健康成人6例の背部に、ラノコナゾール1%クリーム5gを1日あたり8時間、7日間反復塗布した結果、7日目の塗布後8時間目に0.31〜0.76(平均0.45)ng/mLを検出したが、24時間後には全例検出限界以下となった1)
16.2 吸収
健康成人にラノコナゾール1%クリームを単回あるいは7日間反復塗布した結果、塗布部位からの回収率は高く、皮膚からの吸収率は低いと考えられた1)
16.4 代謝
ヒト尿中の代謝物から、ジチオラン環の開裂が代謝経路の一つであると考えられた1)
16.5 排泄
健康成人によるラノコナゾール1%クリームの単回及び反復塗布試験時の尿からジチオラン環開裂型の代謝物が検出され、未変化体はほとんど検出されなかった1)
16.8 その他
16.8.1 生物学的同等性試験
健康成人男子20名にラノコナゾールクリーム1%「イワキ」、ラノコナゾール外用液1%「イワキ」及びラノコナゾール軟膏1%「イワキ」並びにアスタットクリーム1%、アスタット外用液1%及びアスタット軟膏1%を単回経皮投与して角層中未変化体量を測定した。生物学的同等性判定のパラメータである定常状態(外用液、軟膏:投与後4時間、クリーム:投与後6時間)及び投与後24時間における薬物回収量の対数変換値について統計解析した結果、いずれの製剤も生物学的同等性が確認された2)
表1.クリーム剤 薬物回収量(ng)
製剤\投与後時間(hr)624
ラノコナゾールクリーム1%「イワキ」260.1±137.1488.5±231.3
アスタットクリーム1%314.5±173.7611.6±342.6
表2.外用液 薬物回収量(ng)
製剤\投与後時間(hr)424
ラノコナゾール外用液1%「イワキ」683.0±203.71828.8±550.0
アスタット外用液1%709.3±226.21934.4±582.6
表3.軟膏剤 薬物回収量(ng)
製剤\投与後時間(hr)424
ラノコナゾール軟膏1%「イワキ」204.9±58.9369.9±327.1
アスタット軟膏1%258.1±111.5416.4±370.1
薬物回収量は、被験者の選択、角層の剥離回数・適用時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
<クリーム>
17.1.1 国内二重盲検比較試験
皮膚真菌症患者を対象に、ラノコナゾール1%クリーム、ビホナゾール1%クリームのいずれかを入浴後又は就寝前に1日1回、足白癬では4週間、その他の疾患では2週間塗布した二重盲検比較試験を実施した。ラノコナゾール1%クリーム群の有効性評価対象395例の有効率は次のとおりであった。
副作用発現頻度はラノコナゾール1%クリーム群で0.9%(4/442例)であった。その内訳は「接触皮膚炎の疑い」、「発赤、びらん、二次感染」、「ジーンと熱い感じ」及び「AST、ALT、BUNの上昇」が各1例であった3)
対象疾患名有効率(%)(有効以上)
白癬足白癬78.9(101/128)
体部白癬84.3(70/83)
股部白癬90.6(48/53)
カンジダ症間擦疹90.7(39/43)
指間びらん症92.6(25/27)
癜風96.7(59/61)
<外用液>
17.1.2 国内第II相臨床試験
皮膚真菌症患者を対象に、ラノコナゾール1%外用液を入浴後又は就寝前に1日1回、足白癬及びカンジダ性爪囲炎では4週間、その他の疾患では2週間塗布した非盲検試験を実施した。有効性評価対象390例の有効率は次のとおりであった。
副作用発現頻度は2.4%(11/465例)であった。その内訳は外用初期の刺激感6例、接触皮膚炎2例、塗布部の発赤とそう痒感1例、病変部の角化の悪化1例及びASTの軽度上昇1例であった4)
対象疾患名有効率(%)(有効以上)
白癬足白癬80.0(120/150)
体部白癬84.8(56/66)
股部白癬92.0(46/50)
カンジダ症間擦疹81.8(36/44)
指間びらん症88.5(23/26)
爪囲炎75.0(3/4)
癜風90.0(45/50)
<軟膏>
17.1.3 国内第III相臨床試験
皮膚真菌症患者を対象に、ラノコナゾール1%軟膏を入浴後又は就寝前に1日1回、足白癬及びカンジダ性爪囲炎では4週間、その他の疾患では2週間塗布した非盲検試験を実施した。有効性評価対象210例の有効率は次のとおりであった。
副作用発現頻度は1.6%(4/245例)であった。その内訳は接触皮膚炎3例及び刺激感1例であった5)
対象疾患名有効率(%)(有効以上)
白癬足白癬71.4(40/56)
体部白癬77.1(27/35)
股部白癬87.5(28/32)
カンジダ症間擦疹87.5(21/24)
指間びらん症100(17/17)
爪囲炎76.9(10/13)
癜風97.0(32/33)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
ラノコナゾールは真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成阻害作用により抗真菌作用を示す6)7)in vitro)。
18.2 抗真菌作用
18.2.1 ラノコナゾールは、皮膚糸状菌(Trichophyton属、Microsporum属、Epidermophyton属)、Candida属及びMalassezia属真菌に対して高い抗真菌活性を有する。特に皮膚糸状菌に対するMICはすべて0.04μg/mL以下であり、殺菌活性も低濃度で発現した8)9)10)in vitro)。
18.2.2 ラノコナゾールは種々の病原性真菌保存株(酵母状真菌、黒色真菌、二形性真菌、Aspergillus属及びPenicillium属)に対し、広い抗真菌スペクトルを示す8)in vitro)。
18.2.3 モルモット足白癬モデルに対し、ラノコナゾール1%クリーム、外用液及び軟膏は1日1回、10日間塗布により、完全に菌を陰性化した。また、モルモット体部白癬モデルにおいても1日1回、11〜14日間の塗布で同様の作用を示すとともに感染症状の改善が認められた11)12)13)14)
18.2.4 モルモット背部にラノコナゾール1%クリームを0.1g前塗布した後、Trichophyton mentagrophytesを接種した実験では、菌接種1〜4日前の1回塗布でも感染は成立せず、良好な角質内貯留性を有することが示唆された15)

19. 有効成分に関する理化学的知見

19.1. ラノコナゾール

一般的名称 ラノコナゾール
一般的名称(欧名) Lanoconazole
化学名 (2E)-2-[(4RS)-4-(2-Chlorophenyl)-1,3-dithiolan-2-ylidene]-2-(1H-imidazol-1-yl)acetonitrile
分子式 C14H10ClN3S2
物理化学的性状 白色〜微黄色の結晶又は結晶性の粉末である。
アセトンにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
KEGG DRUG D01092

20. 取扱い上の注意

<外用液>
20.1 合成樹脂を軟化したり、塗料を溶かすことがあるので注意すること。
20.2 火気を避けて保存すること。
20.3 直射日光を避け、なるべく涼しい所にて保管すること。

22. 包装

<ラノコナゾールクリーム1%「イワキ」>
10本[10g(チューブ)×10]
50本[10g(チューブ)×50]
<ラノコナゾール外用液1%「イワキ」>
10本[10mL(ボトル)×10]
<ラノコナゾール軟膏1%「イワキ」>
10本[10g(チューブ)×10]

23. 主要文献

  1. 大西明弘ら, 臨床医薬, 8 (4), 799-811, (1992)
  2. 岩城製薬株式会社 社内資料(生物学的同等性試験)
  3. TJN-318クリーム研究班, 西日本皮膚科, 54 (5), 977-992, (1992) »DOI
  4. TJN-318液剤研究班, 西日本皮膚科, 54 (5), 944-953, (1992) »DOI
  5. ラノコナゾール軟膏剤研究会, 西日本皮膚科, 57 (4), 829-840, (1995) »DOI
  6. 近江哲人ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 339-348, (1992) »DOI
  7. 近江哲人ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 349-354, (1992) »DOI
  8. 平谷民雄ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 321-328, (1992) »DOI
  9. 内田勝久ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (2), 217-220, (1992) »DOI
  10. 内田勝久ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 361-366, (1992) »DOI
  11. Ohmi T.,et al., Arzneim.-Forsch./Drug Res., 41(II) (8), 847-851, (1991)
  12. Oka H.,et al., Arzneim.-Forsch./Drug Res., 42(I) (3), 345-349, (1992)
  13. 庭野吉己ら, Jpn.J.Antibiot., 47 (9), 1192-1195, (1994) »PubMed
  14. 庭野吉己ら, Jpn.J.Antibiot., 48 (1), 150-154, (1995) »PubMed
  15. 岡秀紀ら, 日本医真菌学会雑誌, 33 (3), 313-319, (1992) »DOI

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261
製品情報問い合わせ先
岩城製薬株式会社 マーケティング部 学術グループ
〒103-8434 東京都中央区日本橋本町4-8-2
電話:03-6626-6251
FAX:03-6626-6261

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
岩城製薬株式会社
東京都中央区日本橋本町4-8-2

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2025/03/19 版