医療用医薬品 : コミナティ

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医薬品情報


総称名 コミナティ
薬効分類名 ウイルスワクチン類
薬効分類番号 6313
ATCコード J07BN01
KEGG DRUG
D11971 トジナメラン
JAPIC 添付文書(PDF)
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添付文書情報2024年4月 改訂(用法変更)(第11版)


商品情報 3.組成・性状

販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
コミナティ筋注5〜11歳用 COMIRNATY intramuscular injection for 5 to 11 years old ファイザー 631341DA8020 劇薬, 処方箋医薬品注)

2. 禁忌

予防接種を受けることが適当でない者
2.1 明らかな発熱を呈している者
2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
2.3 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者[8.49.1.611.1.1参照]
2.4 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

4. 効能または効果

SARS-CoV-2による感染症の予防

5. 効能または効果に関連する注意

5.1 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

6. 用法及び用量

本剤を日局生理食塩液1.3mLにて希釈する。
1回0.2mLを筋肉内に接種する。

7. 用法及び用量に関連する注意

7.1 接種対象者
5歳以上11歳以下の者
7.2 接種時期
通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後に接種することができる。
7.3 接種回数
過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者には、およそ4週間の間隔をおいて2回目接種を行うことができる。[8.8参照]
7.4 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。[14.2.2参照]

8. 重要な基本的注意

8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察によって健康状態を調べること。[9.1参照]
8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、痙攣等の異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
8.4 ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい。また、本剤接種後にショック、アナフィラキシーが認められた被接種者に対しては、以降の本剤の接種を行わないこと。[2.39.1.611.1.1参照]
8.5 ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
8.6 心筋炎、心膜炎があらわれることがあるため、被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。[11.1.215.1.115.1.2参照]
8.7 コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、ギラン・バレー症候群が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、ギラン・バレー症候群が疑われる症状(四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。
8.8 本剤と他のSARS-CoV-2に対するワクチンの互換性に関するデータはない。[7.3参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 接種要注意者
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。[8.2参照]
9.1.1 抗凝固療法を受けている者、血小板減少症又は凝固障害を有する者
本剤接種後に出血又は挫傷があらわれることがある。
9.1.2 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
本剤に対する免疫応答が低下する可能性がある。
9.1.3 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
9.1.4 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
9.1.5 過去に痙攣の既往のある者
9.1.6 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者2.38.411.1.1参照]
9.2 腎機能障害を有する者
接種要注意者である。
9.3 肝機能障害を有する者
接種要注意者である。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
9.6 授乳婦
予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明である。
9.7 小児等
5歳未満を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

11.1 重大な副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)[2.38.49.1.6参照]
11.1.2 心筋炎、心膜炎(頻度不明)[8.615.1.115.1.2参照]
11.2 その他の副反応
次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
 5%以上1%〜5%未満1%未満頻度不明
局所症状(注射部位)疼痛(84.3%)a)、発赤・紅斑(26.4%)a)、腫脹(20.4%)a)  そう痒感、熱感、内出血、浮腫
精神神経系頭痛(38.2%)a)  浮動性めまい、嗜眠、不眠症、顔面麻痺、錯感覚、感覚鈍麻
消化器下痢a)嘔吐a)悪心、食欲減退 
呼吸器  口腔咽頭痛、鼻閉 
筋・骨格系筋肉痛(17.5%)a)、関節痛a)  四肢痛、背部痛
皮膚  発疹多汗症、寝汗
血液  リンパ節症 
免疫系   過敏症(発疹、そう痒症、紅斑、蕁麻疹、血管性浮腫、顔面腫脹等)
その他疲労(51.7%)a)、悪寒(12.4%)a)、発熱a) 腋窩痛疼痛、倦怠感、無力症、インフルエンザ様症状

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 解凍方法
(1)冷蔵庫(2〜8℃)又は室温で解凍すること。
(2)解凍の際は、室内照明による曝露を最小限に抑えること。直射日光及び紫外線が当たらないようにすること。
14.1.2 解凍後の保存管理
(1)解凍後は再冷凍せず、有効期間内に使用すること。
(2)冷蔵庫(2〜8℃)で解凍する場合は、2〜8℃で10週間保存することができる。
(3)室温で解凍する場合は、解凍開始から24時間以内(一度針を刺した後の時間を含む)に使用すること。
14.1.3 希釈方法
(1)希釈前に室温に戻しておくこと。
(2)本剤は保存料を含まないため、操作にあたっては雑菌が迷入しないよう注意すること。
(3)本剤のバイアルに日局生理食塩液1.3mLを加え、白色の均一な液になるまでゆっくりと転倒混和すること。振り混ぜないこと。
(4)希釈前の液は白色の微粒子を含むことがある。希釈後に微粒子が認められる場合には、使用しないこと。
(5)希釈後の液は10回接種分(1回0.2mL)を有する。デッドボリュームの少ない注射針又は注射筒を使用した場合、10回分を採取することができる。標準的な注射針及び注射筒等を使用した場合、10回目の接種分を採取できないことがある。1回0.2mLを採取できない場合、残量は廃棄すること。
(6)希釈後の液は2〜30℃で保存し、希釈後12時間以内に使用すること。希釈後12時間以内に使用しなかった液は廃棄すること。
(7)希釈後保存の際には、室内照明による曝露を最小限に抑えること。直射日光及び紫外線が当たらないようにすること。
14.2 薬剤接種時の注意
14.2.1 室温に戻した希釈後のバイアルから接種量0.2mLを取り、微粒子や変色がないことを目視で確認すること。異常が認められる場合は使用しないこと。
14.2.2 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。[7.4参照]
14.2.3 通常、三角筋に筋肉内接種すること。静脈内、皮内、皮下への接種は行わないこと。
14.2.4 組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
(1)針長は筋肉内接種に足る長さで、組織や血管あるいは骨に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
(2)神経走行部位を避けること。
(3)注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報
15.1.1 海外において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に心筋炎、心膜炎が報告されている。過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対する2回目までの接種において報告された症例の多くは若年男性であり、特に2回目接種後数日以内に発現している。また、大多数の症例で、入院による安静臥床により症状が改善している1)。[8.611.1.2参照]
15.1.2 接種開始後の国内副反応疑い報告における心筋炎、心膜炎の報告率と、国内の医療情報データベースを用いて算出した一般集団から推測される心筋炎、心膜炎の発現率とを比較したところ、過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対するコミナティ筋注(起源株)2回接種後の若年男性で頻度が高いことが示唆された2)。[8.611.1.2参照]
15.1.3 海外において、皮膚充填剤との関連性は不明であるが、皮膚充填剤注入歴のある被接種者において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、皮膚充填剤注入部位周辺の腫脹(特に顔面腫脹)が報告されている。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第I/II/III相試験(C4591048試験)サブ試験D
コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μgを3回接種済みで、3回目接種から90〜240日経過した5〜11歳の小児参加者を対象に、コミナティ筋注5〜11歳用(起源株/オミクロン株BA.4-5)(以下、コミナティ筋注5〜11歳用(BA.4-5))10μgを1回接種(4回目接種)したときの免疫原性及び安全性を検討することを目的として、非盲検非対照試験を実施した。
本試験におけるSARS-CoV-2感染歴がない5〜11歳の小児参加者43例を対象に、コミナティ筋注5〜11歳用(BA.4-5)接種後1ヵ月のSARS-CoV-2血清中和抗体価を評価した結果、表1のとおりコミナティ筋注5〜11歳用(BA.4-5)群における5〜11歳の小児参加者の接種後1ヵ月時のBA.4-5及び参照株に対する血清中和抗体価は、接種前に比べて上昇した3)
表1 5〜11歳の小児参加者のSARS-CoV-2血清中和抗体価(50%中和抗体価)
  コミナティ筋注5〜11歳用(BA.4-5)10μg
測定対象株測定時期測定例数GMT[両側95%信頼区間]a)
BA.4-5接種前43177.2[118.7,264.4]
接種後1ヵ月431227.5[869.2,1733.5]
参照株接種前431800.7[1305.9,2482.8]
接種後1ヵ月437215.6[5593.5,9308.1]
113例を対象にコミナティ筋注5〜11歳用(BA.4-5)接種後の安全性を評価した。治験薬接種後7日間、電子日誌により副反応の発現状況を評価し、主な副反応の発現状況(事象全体及びGrade 3以上)は表2のとおりであった。注射部位疼痛は接種当日(中央値)に発現し、持続期間は2日(中央値)であった。その他の全身性の事象は接種翌日〜4日(中央値)に発現し、持続期間は1〜2日(中央値)であった3)
表2 主な副反応の発現状況
  発現例数(発現割合[%])
  コミナティ筋注5〜11歳用(BA.4-5)10μg
 接種回数評価例数a)事象全体Grade 3以上b)
注射部位疼痛411171(64.0)0(−)
疲労411145(40.5)1(0.9)
頭痛411128(25.2)1(0.9)
筋肉痛411115(13.5)0(−)
悪寒411110(9.0)0(−)
関節痛411110(9.0)0(−)
発熱c)41115(4.5)2(1.8)
17.1.2 海外第I/II/III相試験(C4591007試験)第II/III相パート(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株))
SARS-CoV-2ワクチン未接種の5〜11歳の小児参加者を対象に、コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μgを19〜23日間隔で2回接種したときの免疫原性及び安全性を検討することを目的として、プラセボ対照無作為化多施設共同試験を実施した。さらに、本試験でコミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μgを2回接種済みの5〜11歳の小児参加者にコミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μgを1回接種したときの免疫原性及び安全性も検討した。
(1)初回免疫(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)2回接種)
本試験における5〜11歳群(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μg)のSARS-CoV-2感染歴がない264例及び海外第I/II/III相試験(C4591001試験)における16〜25歳群(コミナティ筋注(起源株)30μg)のSARS-CoV-2感染歴がない253例を対象に、コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)2回目接種後1ヵ月のSARS-CoV-2血清中和抗体価及び抗体応答率を評価した結果、表3及び表4のとおり本試験における5〜11歳群(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μg)の海外第I/II/III相試験(C4591001試験)における16〜25歳群(コミナティ筋注(起源株)30μg)に対する免疫ブリッジングの成功基準を満たした4)
表3 5〜11歳群の16〜25歳群に対するSARS-CoV-2血清中和抗体価(50%中和抗体価)の幾何平均比
5〜11歳群(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μg)16〜25歳群(コミナティ筋注(起源株)30μg)GMR[両側95%信頼区間]b)
測定例数GMT[両側95%信頼区間]a)
(2回目接種後1ヵ月)
測定例数GMT[両側95%信頼区間]a)
(2回目接種後1ヵ月)
2641197.6[1106.1,1296.6]2531146.5[1045.5,1257.2]1.04[0.93,1.18]
表4 5〜11歳群の16〜25歳群に対するSARS-CoV-2血清中和抗体応答率の差
5〜11歳群(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μg)16〜25歳群(コミナティ筋注(起源株)30μg)差(%)[両側95%信頼区間]b)
測定例数na)(抗体応答率[%])[両側95%信頼区間]
(2回目接種後1ヵ月)
測定例数na)(抗体応答率[%])[両側95%信頼区間]
(2回目接種後1ヵ月)
264262(99.2)[97.3,99.9]253251(99.2)[97.2,99.9]0.0[−2.0,2.2]
2268例(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)接種群:1518例、プラセボ接種群:750例)を対象にコミナティ筋注5〜11歳用(起源株)接種後の安全性を評価した。治験薬接種後7日間、電子日誌により副反応の発現状況を評価し、主な副反応の発現状況(事象全体及びGrade 3以上)は表5のとおりであった4)。注射部位疼痛は接種当日(中央値)に発現し、持続期間は2日(中央値)であった。その他の全身性の事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は1日(中央値)であった5)
表5 主な副反応の発現状況
  発現例数(発現割合[%])
  コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)接種群プラセボ接種群
 接種回数評価例数a)事象全体Grade 3以上b)評価例数a)事象全体Grade 3以上b)
注射部位疼痛115111119(74.1)4(0.3)748234(31.3)0(−)
215011065(71.0)5(0.3)740218(29.5)0(−)
疲労11511508(33.6)4(0.3)748234(31.3)1(0.1)
21501592(39.4)11(0.7)740180(24.3)1(0.1)
頭痛11511339(22.4)2(0.1)748180(24.1)4(0.5)
21501420(28.0)3(0.2)740138(18.6)0(−)
筋肉痛11511137(9.1)1(0.1)74851(6.8)0(−)
21501175(11.7)1(0.1)74055(7.4)0(−)
悪寒1151170(4.6)0(−)74835(4.7)0(−)
21501147(9.8)2(0.1)74032(4.3)1(0.1)
関節痛1151150(3.3)0(−)74841(5.5)0(−)
2150178(5.2)0(−)74027(3.6)0(−)
発熱c)1151138(2.5)3(0.2)74910(1.3)1(0.1)
2150198(6.5)9(0.6)7419(1.2)1(0.1)
(2)追加免疫(コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)3回目接種)
本試験でコミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μgを2回接種済みの5〜11歳の小児参加者401例に、2回目接種から5〜9ヵ月後にコミナティ筋注5〜11歳用(起源株)10μgを1回接種したときの安全性及び免疫原性を検討した。
SARS-CoV-2感染歴がない小児参加者におけるコミナティ筋注5〜11歳用(起源株)接種後のSARS-CoV-2血清中和抗体価を評価した結果、幾何平均抗体価は、表6のとおり2回目接種後1ヵ月時及び3回目接種前と比べて、3回目接種後1ヵ月時で上昇し、2回目接種後1ヵ月時の抗体価に対する3回目接種後1ヵ月時の抗体価の幾何平均比は、2.17(両側95%信頼区間:1.76,2.68)であった。
表6 SARS-CoV-2血清中和抗体価(50%中和抗体価)
測定時点合計
測定例数GMT[両側95%信頼区間]a)
1回目接種前b)14620.5[20.5,20.5]
2回目接種後1ヵ月b)961253.9[1116.0,1408.9]
3回目接種前67271.0[229.1,320.6]
3回目接種後1ヵ月672720.9[2280.1,3247.0]
401例を対象にコミナティ筋注5〜11歳用(起源株)3回目接種後の安全性を評価した。治験薬接種後7日間、電子日誌により副反応の発現状況を評価し、主な副反応の発現状況(事象全体及びGrade 3以上)は表7のとおりであった。注射部位疼痛は接種当日(中央値)に発現し、持続期間は2日(中央値)であった。その他の全身性の事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は1日(中央値)であった6)
表7 主な副反応の発現状況
  発現例数(発現割合[%])
  コミナティ筋注5〜11歳用(起源株)接種群
 接種回数評価例数a)事象全体Grade 3以上b)
注射部位疼痛3371274(73.9)2(0.5)
疲労3371169(45.6)7(1.9)
頭痛3371126(34.0)3(0.8)
筋肉痛337168(18.3)0(−)
悪寒337139(10.5)1(0.3)
関節痛337125(6.7)0(−)
発熱c)337125(6.7)3(0.8)
17.1.3 海外第I/II/III相試験(C4591001試験)第II/III相パート(参考)
SARS-CoV-2ワクチン未接種の12歳以上の健康な参加者を対象に、コミナティ筋注(起源株)30μgを19〜23日間隔で2回接種したときの有効性及び安全性を検討することを目的として、プラセボ対照無作為化多施設共同試験を実施した。
16歳以上の参加者36523例(コミナティ筋注(起源株)接種群:18198例、プラセボ接種群:18325例)を対象に、1つ目の主要有効性評価項目である「SARS-CoV-2感染歴がない参加者での2回目接種後7日以降のSARS-CoV-2による感染症に対するコミナティ筋注(起源株)の有効性[ワクチン有効性1(VE1)]」を評価した。40137例(コミナティ筋注(起源株)接種群:19965例、プラセボ接種群:20172例)を対象に、2つ目の主要有効性評価項目である「SARS-CoV-2感染歴の有無を問わない参加者での2回目接種後7日以降のSARS-CoV-2による感染症に対するコミナティ筋注(起源株)の有効性(VE2)」を評価した。解析結果は表8のとおりであった7)
表8 SARS-CoV-2による感染症に対する有効性
  解析対象例数SARS-CoV-2による感染症確定例数ワクチン有効性[95%信用区間](%)
VE1a)コミナティ筋注(起源株)接種群18198895.0[90.3,97.6]
プラセボ接種群18325162
VE2a)コミナティ筋注(起源株)接種群19965994.6[89.9,97.3]
プラセボ接種群20172169
注)有効性の最終解析のカットオフ日:2020年11月14日

18. 薬効薬理

18.1 作用機序
本剤に含有される修飾ウリジンメッセンジャーRNA(mRNA)は脂質ナノ粒子に封入されており、それにより非複製性であるmRNAが宿主細胞に取り込まれ、mRNAにコードされるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質が一過性に発現する。本剤接種によりスパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防に寄与すると考えられている。
18.2 中和抗体産生能
1価(オミクロン株XBB.1.5)製剤を21日間隔で2回投与したマウスにおいて、最終投与の1ヵ月後にオミクロン株(XBB.1.5)に対する中和抗体の産生が認められた。また、マウスに1価(起源株)製剤を21日間隔で2回投与後、2価(起源株/オミクロン株BA.4-5)製剤を1回、1価(オミクロン株XBB.1.5)製剤を1回、それぞれ1ヵ月間隔で投与したマウスにおいても、最終投与1ヵ月後にオミクロン株(XBB.1.5)に対する中和抗体の産生が認められた9)

21. 承認条件

21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
21.2 現時点での知見が限られていることから、製造販売後、副作用情報等の本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集するとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。その際、国が実施する健康調査等により得られた情報についても適切に反映すること。
21.3 現在国内外で実施中又は計画中の臨床試験の成績が得られた際には、速やかに当該成績を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出するとともに、本剤の有効性及び安全性に係る最新の情報を、医療従事者及び被接種者が容易に入手可能となるよう必要な措置を講じること。また、国が行う本剤の有効性及び安全性に係る情報の発信について、適切に協力すること。
21.4 本剤の接種に際し、本剤の有効性及び安全性については今後も情報が集積されることを踏まえ、あらかじめ被接種者又は代諾者に最新の有効性及び安全性に関する情報が文書をもって説明され、予診票等で文書による同意を得てから接種されるよう、医師に対して適切に説明すること。

22. 包装

10バイアル(オレンジキャップ)

23. 主要文献

  1. Clinical Considerations:Myocarditis and Pericarditis after Receipt of mRNA COVID-19 Vaccines Among Adolescents and Young Adults
  2. 第73回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第23回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料
  3. 社内資料:海外第I/II/III相試験(C4591048試験)サブ試験D補助資料
  4. 社内資料:海外第I/II/III相試験(C4591007試験)(2022年1月21日承認 CTD2.5.1.2、2.5.4.3、2.5.4.4、2.5.5.2、2.7.6.1)
  5. 社内資料:海外第I/II/III相試験(C4591007試験)補助資料
  6. 社内資料:海外第I/II/III相試験(C4591007試験)(2022年8月30日承認 CTD2.5.1.2、2.5.4.2、2.5.5.2、2.7.6.1)
  7. 社内資料:海外第I/II/III相試験(C4591001試験)(2021年2月14日承認 CTD2.5.1.2、2.5.4.3、2.5.5.5、2.5.5.7、2.7.6.3)
  8. 社内資料:海外第I/II/III相試験(C4591001試験)補助資料
  9. 社内資料:マウス免疫原性試験 補助資料

24. 文献請求先及び問い合わせ先

文献請求先
ファイザー株式会社 Pfizer Connect/メディカル・インフォメーション
〒151-8589 東京都渋谷区代々木3-22-7
電話:0120-664-467
製品情報問い合わせ先
ファイザー株式会社 Pfizer Connect/メディカル・インフォメーション
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25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元
ファイザー株式会社
東京都渋谷区代々木3-22-7
26.2 技術提携
BIONTECH

[ KEGG | KEGG DRUG | KEGG MEDICUS ] 2024/04/17 版